まちづくり三法改正で中心市街地は再生するか

中小企業庁商業課長・保坂伸氏

日専連理事長・岩井滉氏

大店法が廃止され、大店立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法の、いわゆる「まちづくり三法」が制定されて八年目に入った。この間、郊外に大型店が乱立し、とりわけ、地方における多くの中心市街地が衰退した。本年、この「まちづくり三法」が、改正されるという。われわれにとって、最も関心のある、この法改正により、郊外乱開発に歯止めをかけることができるのか。また、少子高齢化問題もあわせて、新春にあたり、中小企業庁保坂商業課長をお招きし、日専連岩井理事長と対談していただいた。

―まちづくり三法はどう改正されるかー

岩井 あけましておめでとうございます。

毎年、この機関誌の新年号の対談を、皆さん楽しみにしています。今日は、是非、忌憚のないお話を、いろいろ聞かせていただきたいと思います。まず、今、われわれ中小小売商の一番の関心事は、まちづくり三法の見直しです。全国をご覧になってお分かりのように、寂れてシャッター通りになっている、中心市街地が非常に多くなっています。早く、このまちづくり三法、そして、新しいまちづくりの枠組みができないものかなと、みんな、首を長くして待っています。まず、このことから、お話いただけますでしょうか。

保坂 おそらく、今年の通常国会で、まちづくり三法関係の法律がかかると思います。平成一〇年に大店法が廃止されて、今のまちづくり三法の形式になってから、八年目に入りました。八年たち、初めての改正で、一つのエポックメーキングと言いますか、転換期に来ているのだと思います。私も就任後、いくつかの町を回らせていただきましたが、全体の景気は良くなっているにもかかわらず、特に地方では、商店街、あるいは、小売商業の皆さんが、非常に厳しい状況におかれているという印象を受けております。この傾向を、何らかの形で、変えていかなければいけないという認識を持っています。今回の三法改正は、商店街を含めた、中心市街地を活性化させる先駆けとなるものと考えています。今回の法律の背景として一つ考えなくてはいけないことが、少子高齢化と、それに伴う人口減少社会が、目前に来ているということです。〇六年からは、人口減少になる可能性があります。ようやく、不良債権問題、デフレ問題で出口が見えてきたと思ったら、今度は、少子高齢化、人口減少です。もちろん、国も地方も、財政が非常に厳しく、郊外の開発を進めていけるだけの財政負担ができないという背景もあります。中心市街地には、既存のインフラが整備されていますし、何より、商店街の皆さん、個店の皆さんが、昔からの伝統を受け継ぎつつ、コミュニティの中心を担ってこられたということに、われわれは注目しております。財政がこれだけ苦しいところで、郊外に新しく上下水道ほか、いろいろな生活インフラを通すよりは、既存のインフラを使って、まちづくりをやり直していくべきと、われわれ政策担当者は認識しています。これらのことを考慮して、これから、通常国会に向かって政策を考えていくというのが、とりあえずの現状です。

―都市機能を集約化したコンパクトシティー

岩井 人口減少社会というものを、われわれは今まで経験していません。いざ、人口減少社会になったとき、どんなことが起きるのか、不安材料はいろいろあります。例えば、まちづくりの面で、住む人が少なくなって、インフラだけが膨大に広がれば、少ない人数で、大きなものを維持していかなければならず、負担は非常に大きくなります。その辺をふまえて、今、コンパクトシティの話題が、いくつかの都市であがってきています。このコンパクトシティについては、どのようにお考えですか。

保坂 これは、街を小さくするという意味ではなくて、都市機能を集約していくという意味でとらえています。

中心市街地が今、非常に厳しい状態に追い込まれている一つの要因として、公共施設や住宅をはじめ、いろいろなものが郊外に出て行き、都市機能が分散してしまったことにあります。交通アクセスは車だけに着目して、広い土地を探して、郊外に出ていってしまったということです。そうなると、行政コスト的に、これを維持するのは非常にきつい.これから先、これらの維持だけでも、行政の借金はふくらみ続けるということになってきます。そこで、都市機能をもう一度、中心部に持ってくるというのが、コンパクトシティの考え方です。

岩井 そのお話では、このところ日本商工会議所を含めて、活発な取り組みが伝えられていますが、それに対して、異義を唱えておられる企業もあるやに聞いております。またそれが、農地転用の道を閉ざすことになるのではという懸念も、農家や不動産関係の方から出てきたり、いろいろなことがありますが、その点については、どうお考えですか。

保坂 当然、何かをやろうとすると、いろいろな利害関係者が出てこられるわけです。今回の問題には、自由な経済活動の保障、財産権などにかかわるような問題が深く絡むわけです。国づくり、まちづくりを考えていくとき、ある程度、国として明確な方針を打ち出さなければなりません。いろいろな利害関係者がいる中で、それぞれが、自由に活動してしまっては、きちんとした国土の計画、まちづくりはできません。

もちろん、日本列島改造論のときのように、国全体を国が改造するのは無理です。あくまで、国としては、市町村民の視点を入れて、それぞれの市町村で判断していただくという枠組みをつくるということです。どういう、まちづくりを行なうか、最後の判断は、それぞれの市町村民、コミユニティの担い手である、商店街の方たちも含めて判断して決めていただくという形が、少子高齢化、人口減少の中にあって、一番良い方法だというのが、今の私どもの考え方です。

岩井 自由経済とは、自由に何をやっても良いということではありません。社会的枠組みの大きな変革に伴って、暮らし方も全然違ってくるでしょうし、その中で、まちづくりを考えたとき、それぞれが責任を果たし、守るべきところは、守っていかなければなりません。しかし、地方が最後の判断をすると言いましても、現実問題、必ずしも、そのとおりにはならないと思うのです。つまり、コンパクトシティを目指すなら、目指すということを法で定めて、その方向の中で「地方は、どうするかを考えなさい」ということでないと難しいと思うのです。今まで、まちづくりについて、携わった経験がない地域が多いですから。その辺を懸念しています。それと、大店法廃止のとき、商業者のエゴだとか、いろいろな批判を頂いた時期もありました。われわれは、「商業利権を守る」という意味ではなくて、地域社会を守ることの重大さを訴えてきたつもりなのですが、受け入れていただけなくて、われわれの発言は「蟷螂の斧」みたいなものだったという、苦い経験があります。それが今まさに、聞いてもらえるだけでなく、むしろ「社会がそれを求めている」、そんな時代が来たのかな、という感じも一方でしています。というのは、高齢社会というのは、まちのあり方について、強く変革の要請が出てくるものと思います。例えば高齢者は、自分がハンドルを握っていて交通事故を起こす場合もあるし、また交通事故に遭うこともあります。そこで、交通規制の要請があれば、郊外ショッピングセンターは難しくなってきます。それに第一、日本は京都議定書を作成して推進する側にもいるので、車社会を助長していくわけにはまいりません。やはり、コンパクトシティというような、環境問題にも良い影響をもたらす、まちづくりを進めていくべきだと考えます。

そういう環境問題、あるいは、高齢者の暮らしぶりなどについて、どのようにお考えですか。市町村民の意見を反映できる仕組み

保坂 まず、分かりやすく税金の流れからお話ししましょう。郊外にショッピングセンターをつくりますと、行政はそこにインフラ整備をしなくてはなりません。

ショッピングセンターが、開発をすべて引き受けて、道路までつくってはくれないわけですから。それには当然、税金をあてがいます。受益者負担の原則から言うと、そのショッピングセンターに行ける人たちが、負担すべきとなります。もちろん、高齢者の方も、かつては、車を運転していたのではないかという議論もありますが、受益と負担の関係だけでいうと、ちょっとずれてくるわけです。高齢者の方は、ご自分が運転している場合も、そうでない場合も、交通事故の確率が高くなっているようです。

なるべくなら、車を使わないで、安心して買い物ができるようなまちづくりは大事なことだと思います。しかし、例えば、寒い地域では、ショッピングセンターの中に入れば、暖かいまま、車いすで動けるので良いと言われる高齢者の方もおられるので、それぞれ、選べるような形にしていく必要はあると思います。そのときに、コストに見合ったベネフィットが得られるかを計算いたしますと、既存の施設を使うことが望ましいということになります。今、国土交通省と相談しているのは、郊外の開発については、その是非を、都市計画法によるゾーニングでしっかり決めて、一律規制ではなく、各市町村民の方が決められる仕組みにしていこうということです。WTOのルールでは、商業調整は駄目ですが、ゾーニングという形の社会的規制で行う分には、違反はしてないわけです。

岩井 今までは、コンパクトシティを目指すといっても概念だけでしたが、今度の改正で、郊外の規制も含めて、具体的に推進する方向に動き始めるのでしょうか

保坂 郊外に行けば行くほど、出店の規制が厳しくなるという形と、原則として、市町村の判断で行える仕組みも、取り入れていく方向で検討されています。それから、一つの市で郊外開発規制しても、隣の市で郊外開発を進めるような場合、県で広域調整をするように、国土交通省にお願いしています。

岩井 自由主義である以上、どなたでも自由に、ルールに基づいた競争をしていただきたいというのが、われわれの願いでもあります.しかし、一般的に見ると、オーバーストアと言いますか、どこかが出ると、どこかがつぶれるということを繰り返しています。そのような不毛の競争でなく、消費者に、いろいろなプラスを与えるという競争にならないものでしょうか。それをあまり言うと、商業調整だと言われてしまいますが、その辺も、どうすれば良いのかなという感じですよね。

保坂 各方面で指摘されているのが、オーバーストァ問題です。郊外に出店して、しばらくは流行るのですが、五年ぐらいすると、飽きられて撤退する。空き店舗を埋める新しいところも出てこなくて廃墟になり、ゴーストビルになる。他方、中心商店街は疲弊したまま。その社会的責任は、どうなるのだということは、審議会の議論にもなっていますし、各政党の皆さんも、指摘されておられます。

―商店街の果たすべき役割―

岩井 しかし、これは商業だけの問題ではありません。人は買い物のためだけではなく、いろいろな用事を足せる環境に出ていくことを一番望んでいるのでしょうから中心部には、行政サービスなど、役割を持った機能が集まり、それに必要なインフラも含めて、まちづくりを総合的に考えていただかなくてはいけない気がするのですそういう、新しい時代に入っていく中で、中小の小売商、いわゆる、商店街を形成している人たちの果たすべき役割については、どういうご指導・支援をお考えになっていますか。

保坂 街のにぎわいを、もう一度、中心部に戻すためには、個々の店で、もう少し、アイデアを出し合う努力が重要だと思います。そこは、是非、がんばっていただきたい。その上で、私が中小企業庁商業課の課員に言っていることは、法律ができた後のことです。昔から、役人は法律をつくるのには一生懸命ですが、がんばらなくてはならないのは、後の運用です。われわれが、コンサルタントをするわけではないですが、法律に魂を入れると言いますか、それぞれの中心市街地を活性化するために、法律の運用をきちんとやっていくことが大事だと思っております。

そのためには、いくつかあるのですが、一つは、まず、核となる人材を育成していくことだと思っています。人材育成というとき、最近どうも、三〇代、四〇代の若い方たちが注目されていますが、もちろん、その方たちには能力も馬力もあるのですが、私はむしろ、ある程度は開発も、小売の経験もある五〇代、六〇代の方たちを活用していくことはできないのかと考えています。別に高齢化対策という意味ではないですよ。最近、「官」と「民」をつなぐ「公」の部分が大事だと言われています。その「公」の部分に、経験豊富な方たちを活用していく方策はないだろうかと考えています。

岩井 魅力がない商店街は、マーチャンダイジングがバラバラで、行っても用が足りないということがあるのです。しかし、個店の店主は、それぞれの企業活動をしているので「こうせい、ああせい」と言うのは、なかなか難しい問題でして、やはり、だれかがリーダーシップをとって、テナント、あるいは、業種的なミックスを、うまくつくりあげていくことが必要だと思います。本来なら、TMOがそういう役をしなくてはいけないのですが、実際には、機能していません。機能しない原因は、どこにあるのでしょう。

保坂 今のTMOは、いわば、商業に着目した構想ですが、商業者だけが入っているのでは、それぞれの商店街の組合長さん同士がぶつかりあったりもするので、そこに、ディベロッパー等の関係者や市町村も入った形で、協力関係をつくることが重要です。そのために、真のTMOとしての協議会を作りたいと考えています。市町村主導で、リーダーシップをとることではなく、あくまでも「民」主導ではあるのですが、NPOなど、市民の方たちも入って、市町村の支持も得て、利害調整をしていければと考えています。それから、地権者も、協議会で必要と認められたときには、呼ぶことができるようにするとか、どこまで法律で書けるか検討しています。

―まちの活性化に向けた新しい施策―

岩井 これから新しい時代に入っていくわけで、われわれとしても今まで以上の責任をしっかり果たしながら、まちの活性化に向けてやっていきたいと思っております新しい年に向けて、中小企業対策として、何か新しいメニューがあれば、お聞かせいただきたいのですが。

保坂 今回、まちづくり三法の関係で、中心市街地活性化法を改正しますので、これの対象となる、予算の重点化を考えています。それから二つめは、商業関係予算は、相当なばらまき予算であるという批判が、財務省を中心に、いろいろな場で指摘されることが多いものですから、商店街がコミュニティの担い手であるということに着目して、政策的意味合いのあるもの、少子高齢化対策、防犯防災をされる商店街など、予算の内容を少し、組み替えていくことを考えています。

これは、中心市街地活性化法の対象よりは、補助率が少し低くなる予定です。三位一体改革の直接補助になりますので、三分の二補助、それから、中心市街地活性化の認定を受けずに、少子高齢化対策をおやりになるところは、二分の一補助を目指して、予算の要求をしています。最後は、どういう形になるのか分かりませんが、この二つを中心目標に来年度の予算を考えています。

岩井 今のお話で、地方にいるわれわれの実感として、各地方都市、あるいは県、道、この辺が、いろいろと厳しいのです。ですから、二分の一を負担できるとか、できないとかの話が常に出てきます。

今、地元の札幌市も大幅な予算削減ということで、今まで、商店街や全体で取り組んできたTMOの問題など、いろいろなことについて、予算の打ち切りを通告されています。そういう状況の中でもありますので、政策としても「こういうふうにしてあるから、後は地方自治体でおやりなさい」ということだけでは、なかなか、血が末端まで通わないのではという懸念があるのです。その点は、どういうように支援していただけますか。

保坂 三位一体で、残りの部分の負担を、県なり市が、どういう形で支援するのか、しないのか、それから、自己資金の部分はどうしていくのかというのが、非常に難しいところです。

私の耳に届いている皆さんの懸念は、県が問に入らないと、無責任になるということです。予算面では、三位一体改革もあって、制度面では難しいのですが、まちづくり三法の関係では、都道府県にゾーニング広域調整の機能を持たせることを、国交省にお願いしています。つまり、都道府県は、しっかり責任を持ちなさいということです。

岩井 今の情勢で言うと、こと商業に限って言えば、逆境に近いような状況に追い込まれています。この辺を何とか支えて、あるいは将来の発展につながるような政策を、是非お願いしたいというのが、われわれの気持ちです。

―大企業と中小零細企業の格差問題―

保坂 製造業は、工場が新設されたり、設備増強されたりしていますが、大きな流れとして、アジアにシフトしていくことは、例えば、中国の人件費がこのままで、人民元がこのレートである限り、なかなか変わらないと思います。

しかし、サービス業、小売商業の部分だけは、製造業みたいに、工場を中国に移すようにはできないわけです。これは、現場でやるしかない。床屋さんが、日本全国で続いているのはなぜかというと、輸入できないからです。もう一つ、インターネットで買えるといっても、オークションで買ったものが届かないとか、いろいろな問題も起きていることを考えると、物販の対面の部分が完全になくなることは、あり得ないと思っています。その上で、どう工夫をしていくのかということだと思います。中心市街地活性化法もその一環です。

岩井 ただ、その中で、大企業と中小零細との格差問題が、どんどん拡大しています。かつての、国民総中流意識ということではなくなってきましたね。

保坂 私は、この政権のもとで働く一員として、民でできることは民で、地方でできることは地方で、という流れは、確実に進めるべきだと考えます。その上で、いろいろなひずみ、例えば、環境問題にしても、こういう経済的格差の問題にしても、市場だけで対応できる部分と、そうでない部分は確実にあると思っております。中小企業が製造業でここまでがんばっておられるのは、設備投資減税等の、中小企業税制が効果を発揮した面はあると思います。同じように、中小の小売業に関しても、そこの部分の格差はある程度、考えてしかるべきだと思います。つまり、スタートの時点から違っている競争条件を埋めるだけの根拠が、政策的にはあるわけです。これは、ある程度は、今回の中心市街地活性化法の改正にも反映されてます。

岩井 中小企業の場合、一応、株式会社になっていても、上場しない株価の評価、例えば、相続などのときの問題、事業承継の問題など、いろいろな問題があって、中小企業というのは、代がかわるたびに、力を無くしていくというようなことが、ずいぶん続いています。こういうようなことについて、しっかり見守っていただければ、ありがたいと思っております。

―企業の社会的責任―

保坂 最近、CSR(企業の社会的責任)が着目され始めていることは、非常に重要だと思います。「官」がやることを「民」が行ったりすることを、ある社長は、「公」がやると言われていました。その「公」でやる部分が、少しずつ芽生え始めているので、そこに、いろいろなことを訴えていく必要があると思います。

例えば、商店街の人たちがやっている、電柱の貼り紙剥がしというのは、本来は「官」がやらなくてはいけないことかもしれませんが、そこまでは手が回らないので、そこは「公」としてやっていただく。そして、それをやっている商店街は、もつと評価されて良いと思います。

商店街がコミュニティの担い手になると言っているのは、実は、この「公」の部分を担ってきたということがあるのです。それが、正当に評価されていないから、なかなか「何だ、商店街振興か」ということで、すぐ「バラまきじゃないか」となってしまうのです。そこに、もう少し、光りを当てても良いのではなかと思います。

岩井 自分でやってみて、いろいろ経験すると分かってくるのですが。例えば、貼り紙を剥がすのも、勝手には剥がせないのです。貼るほうは勝手に貼りますが、あれは、財産権とか、何とか権とかいって、勝手に剥がせなくて、行政の認可が必要なのです。だから、うちの商店街も認可を頂いて、せっせと剥がしています。こういうことは、やってみて初めて分かりました。

日専連は、「花いっぱい運動」だとか、各地で社会貢献活動を展開しています。私の地元の札幌では、少年サッカー大会をやっています。企業でもやっているところは結構ありますが、われわれは、切り口を変えて、正選手になれない子どもたちの大会をやっています。小学生でも、一軍になれないとユニフォームを着られないのですが、そういう子どもたちを募集すると、ユニフォームを着て、ピッチに立てるというので、何より、親が一番関心を持ちますから、写真を撮ったりで、いっぱい来ます。少年が夢を持って、生き生き活動できる場があるということは、育つ上で必要なことです。

保坂 そういうことに光を当てていく活動も、もう少し、していかなければいけないと思います。

岩井 今回、札幌では、NPOの方と組んで、身体障害者の介護付き温泉旅行を計画しました。そういう方々は、温泉に行きたくても、なかなか行けないし、行っても、入れないですから、介護をきちんとするツアーを組みました。こういう地域社会への還元を一生懸命やっていこうと思っています。

保坂 そういうアイデアは、多分チェーン店では絶対に出てこないでしょう。社会的貢献は、是非、やってもらいたいと思います。ちょっと、品がなくなってしまいますが、そういうことが商売にも、つながっていくと思います。一個一個のアイデアの積み重ねが、日々、大事です。

岩井 改善する余地がなくなってしまえば、止まってしまうということですからね。去年より、一歩でも前進できるよう努力していきたいと思いますので、今年もよろしくお願いいたします。本日は、長時間にわたり、ありがとうございました。

(月刊専門店・2006・1月号「新春対談」)