まちづくり三法見直し最終取りまとめ

スライド資料    検証道路計画・西岡昭夫氏
まちづくり三法関係
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改正都市計画法 中活基本的方針 NET特集 高松丸亀再開発(定借式)
改正まちづくり三法の概要と地域の動き・当面の課題:講演・栃原克彦氏
追い風となるか改正まちづくり三法

改中活法の概要  
参議院付帯決議

「失敗から学ぶまちづくり」(沼津朝日新聞記事)

(中心市街地の活性化に核となる大型店の存在不可欠・JRにまちづくりの意識なく)

 

市商店街連盟(芦川勝年会長)は、新年懇親会を十九日、日の出町のホテル沼津キャッスルで開いたが、懇親会に先立ち講話会があり、宮城大学大学院の横森豊雄教授が「失敗から学ぶまちづくり」と題して話し、中心市街地の活性化には核となる大型店が必要であると強調するとともに、沼津駅前の現状を評価しながら商店主らの努力を求めた。

商連講話会で専門家が解説

横森教授は、全国各地の例を挙げて中心市街地が疲弊している状況を示し、理由として、バイパスなど郊外の道路整備で、その道沿いに商店が立ち並び、大型店が農地転用や疲弊した工業団地跡地などを使って出来ていることを説明、「必然的な結果」だとした。公共的なインフラ整備で、例えば、新幹線駅の誘致は「まちが活性化する」として中心市街地から外れた場所であろうと建設されるが、「それによって中心市街地がどうなるのか」など真剣な議論が行われてこなかったことを指摘。「JR本体には、まちづくりの意識などは全くない」とも述べた。

その上で、中心市街地を再生するためには「これまでと逆のことをやればいい」として、郊外への大型店出店を規制し中心市街地に誘致することを提唱。「核があって初めて繁栄するのであって、商店街だけで発展するというのはあり得ない」と断じた。ヨーロッパ諸国に、そうした状況があるという。また、「高齢者から『便利な街の中に住みたい』と求められたら住宅を用意し、商店街の人も自ら街の中に住まなければならない」と話した。

大型店の郊外出店規制を強化するなどの動きは、既に国の方で出ているが、その背景には都市機能が郊外に拡散すると住宅も周辺に散在するようになり、道路や上下水道整備など膨大な公共投資が必要となる。人口増加の時代は、そうした状況に対応するために必要なものだったが、人口が減少に転じると、せっかく整備した公共的インフラが有効に活用されない可能性も出てくる。

七〇年代から九〇年代にかけて、全国的に大型店の中心市街地への出店数、郊外進出の数は反比例の形で推移している。大型店などの郊外進出に際しては、農地の転用が例外的に認められることなどが法的不備として指摘されており、国はまちづくり三法(改正都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律)の見直しを進めている。見直し案は、早ければ今年中に国会で成立すると見られており、中心市街地の商店主らの関心が高まっている。

「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律」(中心市街地活性化法)では、これまで市町村が作成した計画を全て作り直すことが求められ、出来上がった計画の認定も内閣総理大臣が行うという厳正な審査を盛り込んだ案となっており、横森教授によれば、これまでは投資効果が疑わしいものにまで税金が使われてきた反省があるのだという。

一方で、やる気があり、公共施設、住宅等の都市機能の中心市街地への整備計画がしっかり出来ているなど、成果が期待できる地域には、国が集中的に投資し、そうでない地域には補助を出さない方針も明らかにされている。

TMO(TownManagemehtOrganizatin)の取り組みも意図されたような効果が見られない、として、法定組織である中心市街地活性化委員会を設け、国、県、市町村を含めた参加組織の連携を強化した案が出される見込みだという。

また、まちづくりや環境面から大型店の出店を規制する「大規模小売店舗立地法」(大店立地法)については、「全く機能していない」とした上で、横森教授は「平成十二年の施行から、出店を規制する勧告が出されたのは全国(都道府県と政令指定都市)、で一件だけ」だという。一方で、「(郊外型)大型店の満足度には四分の三の消費者が(現状を)支持している」状況もあり、今後、中心市街地にとっては消費者ニーズに合った大型店の誘致が課題となりそうだが、定住人口の呼び戻しや大型店にとって不可欠となる駐車場確保など難問は多い。

横森教授は全国を見て歩いている経験から沼津の中心市街地について、「沼津の人通りは立派なもの。全国的にはこんなものではない」と評価した上で、「これを維持していくことが商店主の努め」であることを指摘した。また、商店街関係者の話として同教授は、沼津駅前から地下道に入る構造に関しては異を唱え、人口がフラットに歩ける、やさしいまちづくりが必要であるとの考え方を見せている。(沼朝1月21日号)